2010年12月8日水曜日

「ポピュリズムへの反撃」山口二郎 角川ONEテーマ21

課題図書を読んで感想。



p42福祉国家という手法で国民統合を図ることが、もう現実問題として難しくなってきている。
当たり前にあるという状態になってますからね。だからポピュリズムに走るということ


p58やはりいま必要なことは、論理的にものを考えて、ちょっと未来のことまで外挿といいましょうか、延長してみて、こういうことをやったらこういうことが起こるのではないかという、論理的な思考で将来の日本の世の中を考えてみるという作業、これがやはり必要だと思います。
しっかり考えずに、リアクションばかり求められる。戦略不在のままいつまで今の国際的な地位を確保できるか。責任はみんなにある訳で、政治と無縁の人はいないということ。自らへの戒めとして。

p129政治というのは、所詮は既存の利益配分の現状を変更するという作業
これも同感。ただ、とったとられたというのは日本人の感覚からいくとやや嫌悪感があるのでは。まずは共通の配分ルールを作るところからか。

p151政権交代による政策転換は、リスクの個人化からリスクの社会化への転換です。大事なことは、補助金配分や行政指導による弱者保護ではなく、ルール指向的にリスクを社会化していくということです。
当事者になってはじめて社会制度のアラに気が付く。うまく騙されて統治されているのかもしれません。

p171半世紀以上続いた自民党政治の悪弊を、たった一度の政権交代ですべて洗い流すことができると考えることのほうが、よほど非現実的で幼稚な発想です。幻滅の感を何度も、何度も乗り越えていかなければ、民主主義は本物にならないということです。
これもリアクション系、週刊誌系の思考・行動パターンへの戒め。

p178政治的な権威に対する盲目的な信仰と政治に対する冷笑とは実はうらはらの形で同居している。
自らへの戒め。

p181堀田さんの言う幻滅への慣れ、丸山さんの言う悪さ加減の選択、この二つの態度こそ、安直なポピュリズム政治を解毒する、重要な道具です。

p187丸山眞男の「悪さ加減の選択」という言葉にあったように、政治における選択は無限の選択肢の中から最善のものを選ぶということではありません。逆に限られた選択肢の中からよりましなものを選ぶことが、責任ある市民の態度です。
これはかなりグサリと来ました。現状が未熟であっても、将来のビジョンは希望がもてるものが欲しいところ。それも自分達で創っていく必要があるのですが。
我らの世代はそれをどのようにして創ったらよいのかという方法論を求めているのかもしれない。マニュアル世代の弊害。動いてみることが必要ということか。


p189ねじれをむしろ常態と考え、その上でどのように政党政治を運営するかを考えるべきです。
有権者も我慢強く待つ必要あり。

p202いま非常に厳しい状態で生活をしている20代、30代、とくに家族を持っているその世代の人々に対してサポートしておくということは、20年後の日本の社会を守るために大変重要な防衛策
情けは人のためならず。現在の世代は将来世代に向けた責任がある。ただ、今の民主主義と人口バランスではどうしても数の多い高齢者に施策のバランスが傾くのは致し方ない状況。公的年金を受け取っている方の選挙権を制限するというのはいかが。いや、まずここは高齢者に対してもきちんとものを言える議員を選ぶことが必要ですね。

p208やはりますは事実に基づいた議論を行う。どこの部分は事実として共有するか。それを踏まえてどの部分で対立をするか。どういう方向付けを描いて対立をするか。そういう実りのある議論をやっていかなければならない。
このあたりは小学校の教育から変えていかないとなかなかすぐには変わらないかもしれません。論理ではわかったも感情的になる方多いです。職場の中はそんな人ばかり??

p208ポピュリズムの誘惑に勝つためには、政治指導者の勇気と見識が必要です。既存の政治、政治家や官僚に対する漠然とした不満を鬱積させている人々の感情を揺さぶるような議論を打破することこそ、今の政治にとって最も必要なものです。
政治家のみなさん、頑張ってください。応援します。政治家を見る目を養おう。

p212ここで必要なことは、社会的連帯を回復することです。律儀な人々が、自分よりも弱い立場の人を怨むのではなく、ともに社会を構成する一員だという意識を持って、社会の立て直しのために一役買って欲しいと思います。
そのとおりです。

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