「性的問題に関する施設と児童相談所の検討委員会」の立ち上げ
 背景は県内の施設で性被害・加害案件が複数発生。職員による性加害
事案もあり。
 対応には児相・医療機関と施設との連携が重要であるが、施設単独で
は対応が困難な状況に危機感あり
 静岡県で施設と児相間でのワーキンググループの取り組みがあり、こ
れを参考に埼玉県でも実施することに
 委員会設置の趣旨は
 過去の事例について検証
 発生時の緊急対応(施設の対応あり方、児相の対応あり方)
 被害児及び加害児への心理的個別ケアのあり方(施設と児相の役割明
確化)
 再発防止策の検討と関係者間での共有する
 経過
 H18.12 児相長と施設長との連絡会 ワーキンググループ立ち上げ
 H19.12 準備会
 H20 第1次検討委員会開催(6月〜11月 全7回)
 H21.3 報告書発行
 H22.1〜 第2次検討委員会(再発防止策につながる取り組み検討を中心
に)
 H23.3 報告書発行予定
 構成メンバー
 施設側(施設長、主任級以上職員、心理士)
 児相側(担当部長、担当課長級)
3ページ
「性加害児童の治療グループ」の立ち上げ
 立ち上げの背景
 第1次検討委員会報告書における課題に対する具体的な対応を検討
 実態調査のデータ不十分
 聴き取り以外の対応方法検討
 加害への対応方法
 再発防止の具体的取り組み
 活動内容
 施設内の現状についての詳細な把握
 加害・被害ネットワークを見据え、加害児童も含めたケアプラン作成
 施設間の情報交換
 性暴力対応のスキルアップ
 経過
 H21.2 設立準備委員会
 H22.9 活動報告書発行
 構成メンバー
 児童養護施設(11施設)の心理職、保育士、児童指導員 21名
 情短施設、児童自立支援施設の心理職 5名
 協力者(児童精神科医、研究者)
4〜6ページ、参考資料5〜6ページ
第二次検討委員会報告での調査報告事例概要
・ 調査概要
 調査対象期間 H17.4〜H22.2
 分析対象事例 支配服従という力関係の中での被害・加害
 除外事例 合意によるもの、幼児同士などの軽微なもの
・ 調査概要
 該当件数 52件
 報告施設数 16施設(うち11施設で複数回発生 37事例)
 性別 異性間51%、同性間49%(第1次報告時調査 同性間53%)
 被害児童 75名(幼児15%、小学低学年23%、小学高学年23%)
 被害児性別 幼児、小学低学年は男女ほぼ同数 小学高学年以上は女
児が多
 加害児童 62名(小学高学年20%、中学生24%、高校生5%)
 加害児性別 小学高学年以上は男児が79.5%
 被害児・加害児間の年齢差 3歳以上の差がある事例が55%
 加害児入所期間 3年以上が59%
 被害児の乳児院入所歴 有り43%(入所児全体平均は 有り29%)
 知的水準 境界域又は軽度遅れあり 被害児42%、加害児53%
 被害児被虐待率 69%(ネグ32%、身体16%、性的12%、心理9%)
 加害児被虐待率 83%(ネグ35%、身体22%、性的14%、心理12%)
 加害児の施設内での性的被害体験 無し53%
 発生時間帯 日中52%、夜間14%、就寝後10%
 発生場所 居室内50%、風呂場15%、建物の外12%
 発見理由 被害児より30%、他児より24%、職員の発見16%
・ 調査結果まとめ
 どこの施設でも発生の可能性あり
 「同性だから安心」は幻想
 性被害の背景には力の支配・被支配関係があること明らか
 加害児は男児の割合が高い
 入所期間が長くなることで子ども間の力関係が固定化するのが要因か
 被害児の43%が乳児院からの措置変更(施設での生活が長い)
 加害児は入所前に性被害体験や過剰な性的刺激にさらされていた可能
性高い
 境界域・軽度の遅れのある児童が性被害・加害行為に関わってしまう
危険性高い
 被虐待体験を有する子どもの加害率が高い
 加害児の28%が施設内での被害体験あり。被害児へのケアの中に加害児
への転化への対応必要
 発生時間帯は日中が52% 複数職員が勤務している時間帯に発生してい
る。
 発生場所は建物内が64.6% 職員の動きや死角を把握している。
 発見理由は子どもからの訴えが54% 職員発見は16%にすぎない
・ 予防策につながるヒント
 子どもと職員の信頼関係前提
 子ども間の関係において力関係の固定化がないか、という視点も必要
 建物の死角、職員動線による死角をなくす配慮。引継時間が長いのは
危険
 家庭からの入所児童の加害率が高い 〜 入所前のアセス重要(性被
害体験、可能な性的刺激の有無など)
 長期在籍傾向のある子どもには性被害を受けないための学習機会の設
定を施設側が保証することが重要
 境界域・軽度の遅れのある児童には発達段階に応じた性に関する取り
組みを継続的に行う必要あり
 施設内での被害児が加害児に転化 → 被害児が繰り返し被害を受けや
すい状況を施設・児相が作っている危険性があることを常に認識必要
6ページ
各施設の取り組み
(1) 愛泉寮
・ 職員の意識改革
・ 自立支援計画(性に関する項目を追加)、虐待経験チェックリスト、トラウ
マ行動チェックリスト
・ 早期発見(毎月定例日にチェック実施) 〜 暴言・暴力、子どもの動
き、性的問題に関するチェックリスト
・ 性教育とケア基準への取り組み
� 性教育委員会の組織化(定例化、継続化)
� 性教育マニュアル作成
� 子ども向け基準作り
� 性教育研修の強化
(2) 子どもの町
・ 性的事案の調査(児相、児童精神科医、外部の心理士)
� 入所児童全員のチェック実施(ケース概要、性格、問題傾向、対人関係、被
虐待体験、性化行動等) 〜 職員が実施
� 職員への聞き取り調査、寮舎での生活場面観察 〜 児相が担当
・ 施設としての取り組み
� チェックリスト(虐待経験、トラウマ行動、乖離評価、性化行動)の活用
� CAPワークショップ(子ども向け、職員向け)の毎年度継続実施 → 県の
権利擁護の補助金活用
� 性虐待に関する自主学習会の実施(月1回)
� 児童精神科医との研修会(事例検討中心、月1回)
8ページ、参考資料7〜8ページ
施設内で性的問題が発生したら
キーワード 〜 危機意識、情報共有化、被害児・加害児双方への支援、連携
(1) 対応の流れ()
発覚→被害児から聴き取り→加害児から聴き取り→職員会議→児相・施設監査所管課へ
の報告→保護者への報告
(2) 聴き取りについて
場所と時間の確保(安心感、プライバシー)
聴き取り方法
被害児に対して 〜 心配していること前面に、穏やかに、記録することの承
諾、
何度も聞かない、開かれた質問 (司法面接の手法)
加害児に対して 〜 率直に聞く、責めない、被害を受けた訴えも聞く
(3) 子どもへのケア
・ 被害児童へのケア
生活場面での安心・安全感(環境作り、関係性)
グループワーク
個別心理療法
・ 加害児童へのケア
施設内における被害児との分離
「被害児としての側面」という視点が共有化されにくい
一時保護の後、施設内で生活が必要 → 施設内での支援プログラム必要
(4) 児相と施設の連携
・ 現状では「報告機関先」としての位置づけ先行
・ 事件報告数と事件発生数に開差があると考えられる 〜 結果のみ求められ
るため相談ができない
・ 連携機関として共同での対応が必要
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