2008年7月17日木曜日

地方の医師対策


2008年7月12日 日経新聞社説より
社説2 魅力ある地域の病院作りを(7/12)
 産科、小児科を中心として医師不足に歯止めがかからず、地域医療が崩れつつある。国も有効な対策を打ち出せずにいるが、一方で魅力ある病院には若い医師が積極的に赴任しようとする傾向も見られる。行政の支援ももちろん必要だが、病院の側が地域の住民も巻き込んで、活力ある病院作りに努力することも解決の一助になるだろう。

 本紙が5、6月に実施した調査では、全国各地の中核的な病院の約62%が、2007年度までの4年間に「医師の確保が難しい」という理由で、診療体制を縮小していることがわかった。その後、復旧できたのは9.7%だけで、大半は元に戻せないでいる。特に内科、産科、小児科で目立ち、診療科そのものを廃止した病院もおよそ2割あった。

 国もこれまでの「医師数は充足している」との考えをようやく転換し、6月には医学部の定員増や、増えている女性医師への就労支援などの対策を打ち出した。しかし一連の政策が現状の医師不足に対しすぐに効果を発揮することは望めない。

 こうした中で最近、医療関係者の間で注目されている病院がある。兵庫県丹波市にある県立柏原(かいばら)病院だ。小児科医が辞めていく危機に地元の主婦たちが立ち上がった。軽い病気でも医師にかかるという「コンビニ受診」によって医師に負担をかけるのをやめようと、市民への呼びかけを広めていった。この結果、辞めようとした医師もとどまり、さらにこの春以降、3人の小児科医が新たに赴任した。こうした動きに共鳴したからだという。

 若い医師が行きたくなる病院は、症例数が多い、優秀な指導医がいる、といったことが条件になると言われている。それも必要ではあるが、最近では「病院内にとどまらず、積極的な在宅医療や開業医との連携ができる」「看護師など他の職種との連携がとれたチーム医療が実施されている」「しっかりとした病院医療の方向性がある」などの理由も増えてきた。地域住民にも受け入れられ、ゆとりある地域医療を経験したいということだろう。柏原病院に限らず若い医師が希望する地方の病院は少なくない。厳しい環境の中で、病院の努力も求めたい。


 キーワードは「やりがい」と「ネットワーク・人脈」かな
 医師になる人たちはそもそも強い使命感をもっているはずで、人の役に立てて自らを高めることができる、成果が目に見える等のインセンティブが必要ということだと思う。

 これまでは「給与」というインセンティブを高めることで人を確保しようとしてきたが、お金は追求し始めるときりがない。
 それよりもお金では手に入れることができない価値を提供することで優秀な人材確保につながるということか。

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