またまた札劇に映画を観に行った。
本日は「マルコムX」のスパイク・リー監督の最新作「セントアンナの奇跡」である。これまた評判の良い作品だ。
舞台は1983年のNYから始まる。定年間近で勤務成績優秀な郵便局員がいきなり局内である男を殺してしまう。なぜ?事件を追った新聞記者が留置場で彼の告白を聞く。
そこから舞台は第二次世界大戦末期のイタリア、トスカーナ地方へと飛ぶ。
黒人がまだまだ激しい人種差別を受けていた時代、参政権も無いのにアメリカ兵として参戦している黒人部隊の中に主人公がいる。
ふとしたことからある少年を助けることとなり部隊とはぐれてしまう。この少年と共にトスカーナのある村に滞在しながら部隊の合流を待つのだが、そこでの村人との交流、パルチザンとの捕虜をめぐっての掛け合い、さらにドイツ軍との戦いを通じて差別とは何か、人はなぜ生きているのか、奇跡とは何なのかということを体験していくことになる。
最後にまたNYに戻り、ようやく映画の中にちりばめられた伏線が明かされ、感動!という内容である。
ちなみに史実に基づいた話のようである。
正直なところ前半はなかなかシーンの意味がつかめないまま登場人物がどんどん増え、その上少年に慕われる黒人兵の「不思議」行動になかなかなじめずかなり退屈な(?)印象があり「いやー、これは失敗したかな・・・?」と思っていたのだが、パルチザンが登場する辺りからにわかにジグソーパズルのピースが合い始める。
「これは、なかなか」と思ってみているとどんどん話が進み、そして最後のシーン。
エンドテロップで最初から巻き戻して考えてようやく「そうか、なるほど!」と感心してしまった。
英語、ドイツ語、イタリア語が乱れ飛ぶもそれぞれに意味が持たされており、さらに観客に考えさせる象徴的なシーンや台詞も多くかなり頭の体操になる。
評者によると最後のシーンの奇跡を目にして観客は感動!泣けるー!ということのようだが、個人的には「うーん、泣けるかな・・・?」むしろ「すごい!」という方が先にくるのと、R15の戦争シーンがものすごくてそれにやられてしまった。
大人向けの良質のミステリーである。
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